<現在の取り組み>
【地震出火リスク研究】
大地震の被害想定において、地震火災の被害が過少に見積もられる傾向があり、それが地震火災対策の軽視につながっています。その誤った風潮に風穴を空けるために、今一度過去の震災時の火災被害のデータを読み解き、信頼性のある被害想定手法の確立を図ると共に、効果的な地震火災対策の提案につなげたいと、考えています。
その第1段階として、当時の神戸大学で実施した阪神・淡路大震災時の出火調査の生データを一件ずつ再検証する作業に着手しました。この作業から、倒壊率と出火率の関係などを明らかにして、「間違った経験式」を修正する手がかりを得ることができるのではと、思っています。
【被災地復興物語調査】
阪神・淡路大震災の被災地の復興過程で生まれた物語(語り継ぐべき教訓)を、拾いだす取り組みを開始しました。一人一人の被災の記録を残す事も大切ですが、一つ一つのコミュニティの記録を残す事も大切だと考えたからです。100ほどのコミュニティについて、その復興の過程を事実によって裏付けながら、そこに人間のドラマを組み合わせて、震災の絆を紐解きたいと思っています。この被災復興物語の調査を、いままでの震災犠牲者聞き語りの調査とあわせて、被災地責任をはたすための「ライフワーク」としたい、と思っています。
なお、この作業は、関西学院大学総合政策学部の「初々しい1回生との共同作業」となります。震災を知らない学生に震災を伝える取り組みとしても、成功させたいと考えています。
【減災コミュニケーション】
阪神・淡路大震災は、専門家と市民との関係を鋭く問いかけたものと、受け止めています。この問いかけへの答えを、専門家と市民との減災コミュニケーションという形で、出していこうと考えました。専門家が市民と一体なって災害の危険性を考え、被害軽減の知恵を育む「地域密着型の教育システム」をつくることに着手しました。現在は、その仕組みをどうするか、そのカリキュラムをどうするかを、模索している段階です。
とりあえずは、この減災コミュニケーションを進める組織として、「減災環境デザイン室」という任意の個人組織を立ち上げました。市民防災教育の中間支援組織として育てていきたいと思っています。ご支援ください。